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地域枠卒業医師からのメッセージ​(2017・2018年)

 

地域勤務を始めた地域枠卒業医師の皆さんに、働き方や後輩へのメッセージなどをお聞きしました。当初から医師を目指していたという方ばかりではなく、社会人として働く中で、医師になりたいというきっかけに出会ったという方もいます。

​地域勤務病院からのメッセージこちらからご覧ください。

高梁市国民健康保険成羽病院 岡山県高梁市成羽町下原301番地

梶谷 聡 医師(2018年4月〜2020年3月 勤務) 

(訪問日: 2018年5月7日)

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どのように働いていますか?

病棟、外来、検査(内視鏡)などを担当しています。また、木曜日の午後は、宇治診療所(高梁市宇治町宇治)で14:00~16:00まで診療します。今は患者さん5名程度ですが、増えるように頑張りたいと思います。週1日は岡山赤十字病院の消化器内科で内視鏡をメインに研修をしています。当直は、1人体制で、何かあれば電話で応援を頼むことができます。

地域勤務で戸惑ったことはありましたか?

初期臨床研修後、1年間岡山赤十字病院で勤務したことが良い経験でした。分かるところは上の先生に聞かなくてもできるし、分からないことがあっても、考えるための時間を割くことができ、余裕があると感じています。ただ、患者さんの平均年齢が岡山赤十字病院の患者さんより20歳ぐらい大きくて、認知機能や聴覚機能が衰えている方が多く、大きな声で話すことや、患者家族とのコミュニケーションが大切と感じました。また、一人暮らしのお年寄りもいて、どのようにして家に帰るのか気になるし、通院するのも大変なので、次の予約や入院する基準も岡山赤十字病院とは違います。何かあっても容易に病院に来られないと思うと「何かあったら来てね」が簡単には言えません。岡山赤十字病院では高齢の患者さんには、介護施設や他の病院に転院してから自宅に帰るまでの段取りをしてもらっていましたが、こちらでは転院を受ける側で、自宅に帰る方法を考えなければなりません。入院等のマネジメントや退院後の介護の日程などのサービスは、上の先生によく相談しています。

メンタルヘルスに対する対策がありますか?

メンタルは強いと感じています。上の先生が気にかけてくださり、気にかけてもらっているということが分かるだけでも安心していられます。

成羽町はどんな町ですか?

着任するまでは不便かなと思っていたけれど、衣食住に関することに不自由はないですし、山に囲まれた自然がとても良いです。備中神楽も見たし、花火大会が有るそうなので楽しみです。

成羽病院はどんな病院ですか?

他の先生が負荷をかけないように気をつかってくださっているのか1日の労働量はそれほど多くありません。地域に密着している病院で、看護師さんなどは、患者さんの名前を聞いただけでその人の生活や家族のことまでわかり、住民にとっては良い病院だと思います。自分にとっても働きやすい病院です。

次に続く後輩へのアドバイスをお願いします。

担当が内科だからと言って内科のことだけでなく、外科系も 診なければならないこともあります 。研修医の時に、多くの科を見て回り、多くの経験があれば、困ることはあるでしょうがびっくりすることがないと思います。初期臨床研修中だけでなく、学生の時からの経験が大事と思います。初めての当直で小児が来院してびっくりしました。初期臨床研修中に小児科は体験していたので、まったく手も足も出ないという状況ではありませんが、少しの経験があれば本を読んででも対応できるので、広くやっておけばよかったと思いました。

義務年限が終了した時の自分の姿はどんな姿ですか?

内科一般を診ているので、かかりつけ医のような働き方をするのか、消化器に興味があるのでそちらの方向に行くのかまだ想像できません。地域で働きながら自分の方向性が決まってくるのかと思います。

l成羽病院のホームページへはこちらから

医療法人社団井口会 総合病院 落合病院 岡山県真庭市落合垂水251番地

脇地 一生 医師(2018年4月〜2020年3月 勤務) 

(訪問日: 2018年5月8日)

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なぜ医師の道に進まれたのですか?

前職はサラリーマンで生産管理等の仕事をしていました。妻が発達障害の子どもの支援をしており、小児科医の必要性を感じたからです。

どのように働いていますか?

病棟、外来、救急、検査(超音波、内視鏡)、健診などを担当しています。病棟では、自分が外来や救急で対応し、入院していただいた患者さん等を担当します。当直は、1人当直で病棟・救急・時間外診療の患者さんを診ます。週1日は、岡山赤十字病院で小児科の研修をしています。

地域勤務で戸惑ったことはありましたか?

初期臨床研修病院を岡山大学病院で行い、その後は岡山大学病院で小児科の後期研修を行っていたので患者さんは子どもでしたが、こちらでは、高齢者の患者さんを診ることになり、年齢層や対象疾患ががらっと変わったので初めは戸惑いました。初期臨床研修中に高齢者の退院後をどのようにするかを積極的に自分でマネージメントすることは有りませんでしたが、こちらでは退院先が施設なのか自宅なのかを、ご家族と相談しながら決めていくことになります。ソーシャルワーカーさんがしっかり対応してくださるので、困ることは余りありませんが、分からないことは上の先生に相談しています。介護保険の医師の意見書もしっかり書けるようにしておかなければならないと思っています。

メンタルヘルスに対する対策がありますか?

メンタル面について気にしたことはありません。今は単身赴任をしていますが、週末に家に帰り家族と過ごしたり、宿舎にWi-Fiをつないでいるので、テレビ電話で子どもと連絡を取ったりしていて、離れていても家族とつながっているのが良いと思います。

真庭市はどんな町ですか?

日曜日はガソリンスタンドが休みということにびっくりしました。

落合病院はどんな病院ですか?

落合病院は慢性期・金田病院は急性期、という住み分けができており、比較的穏やかです。今担当している患者さんは高齢だけれど元気な方が多く、急変などで呼び出されることはまだありません。勤務時間外は病棟の患者さんも日直、当直医が責任を持って管理する体制になっているので、急に呼び出されることはないようです。また、医師の人数も少なく医局も一つなので、いつでも上の先生に質問ができる体制です。

次に続く後輩へのアドバイスをお願いします。

地域病院はどこに行っても歓迎してもらえます。地域での内科医は内視鏡はできた方が良いと言われますが、私は初期研修・後期研修でそこまでの内視鏡の経験はありませんでした。しかし、落合病院にはこれから育てていこうという雰囲気があり、現在は院長先生に教えて頂き、内視鏡検査の経験を積んでいるところです。初期研修の時の経験が少なく、地域に出たらどうしようとあせる人も居るかもしれませんが、直ぐに全て自分ひとりでやっていかなければいけないわけではなく、上の先生に教えてもらって経験を積んでいけば良いのではないかと思います。

義務年限が終了した時の自分の姿はどんな姿ですか?

小児科専門医の資格は取得できていても、サブスペシャリティは未取得だと思っているので、それを取得するための勉強を続けていると思います。勤務するのは、大病院ではなく中小病院で、小児科医としてやっているのではないかと思います。家族(親の介護等)のことを考えると岡山市周辺に勤務している可能性が高いのではないかと思います。

落合病院のホームページへこちらから

真庭市国民健康保険 湯原温泉病院 岡山県真庭市下湯原56

竹内 研一 医師(2018年4月〜 勤務) 

(訪問日: 2018年5月11日)

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なぜ医師の道に進まれたのですか?

以前は基礎医学の研究をしていました。筋ジストロフィーの研究もしていましたが、病気は治すだけではつまらないと思うようになったんです。病気は体に意地悪をするけれど、精神的に病気が転機となって人生が好転する人もいます。ですから病気を利用できないかと思い、そんな方面を目指すには、医者にならなければできないという思いから医師になりました。

どのように働いていますか?

病棟、外来、健診などを担当しています。美甘診療所、新庄村国民健康保険診療所にも行っています。当直は月平均で4回から5回担当します。肉体的には50歳でもまだ余裕があります。

 

地域勤務で戸惑ったことはありましたか?

意外に大丈夫でした。地域に出ることを想定して初期臨床研修病院は、岡山市内にあっても診療所や家庭医療の基礎が学べる岡山協立病院を選び、地域医療とあまり変わらない経験をしたからでしょうか。湯原温泉病院のスタッフの皆さんにもずいぶん助けられています。

メンタルヘルスに対する対策がありますか?

自分は、繊細だけれど図太いほうだと思います。哲学や宗教にも興味があり、その方からもずいぶん勉強しました。岡山協立病院では、患者さんに音楽療法や瞑想療法をしたこともあります。

湯原はどんな町ですか?

出身は津山市なので、津山市とあまり変わりない感じがしますが、温泉がある分こちらに住まれている方のほうが恵まれているのかなと思います。

湯原温泉病院はどんな病院ですか?

​ICUや3次救急がないので、重傷者は津山中央病院等に送ります。修羅場が少ないので、他の病院よりはゆっくり時間が流れている感じです。また、いつでも上の先生に相談できて働きやすいです。

次に続く後輩へのアドバイスをお願いします。

内視鏡、整形外科、内科外来は初期臨床研修中に経験しておいた方が良いと思います。研修病院にそのプログラムがなければお願いして作ってもらってもいいのではと思います。また、多くの人は限られた情報で少しでも自分にとって条件の有利に見える病院を他人と争ってまで選びたがりますが、それは全くナンセンスだと思います。世の中多くの成功は逆境から生まれています。

義務年限が終了した時の自分の姿はどんな姿ですか?

基本は家庭医なのかな。家庭医をやりながら疫学研究、臨床研究、漢方や東洋医学の研究もしたいと思っています。また、宗教など「心のよりどころを持っていることが健康にどう関係するのか」や「温泉は健康に本当に効果があるのか」などの研究もしたいと思っています。​

​(湯原温泉病院のホームページへはこちらから

社会医療法人緑壮会 金田病院 岡山県真庭市西原63番地

山本 高史 医師(2017年4月〜2019年3月 勤務) 

(訪問日: 2018年5月11日)

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今はどんな勤務形態ですか?

病棟業務を中心に、週3日の外来診療、内視鏡検査、超音波検査、検診、月1回~2回の訪問診療を担当しています。外来の患者数は1日に10人程度ですが、これから予約が入ってくると思っています。当直は月5回で、月1回~2回の休日当直をします。

地域勤務で戸惑ったことはありましたか?

研修医の時はチームで活動していたので、主治医、病棟医、研修医と自分の立場は3番目だったのが、ここではいきなり主治医となるのに戸惑いを感じました。また、療養病棟の患者さんの対応では、今まで気にしていなかった介護保険のことなどを聞かれ、医療技術以外にも勉強をしなければと思っています。

メンタルヘルスに対する対策がありますか?

自分の性格から、長くしょげることがありません。反省はしますが、くよくよせずに次に生かそうと気持ちを切り替えます。切り替えがうまくできるので、ポジティブな考えが自然とできているのだろうと思います。また、上司によく相談します。相談することで自分の間違いを正せるし、情報を共有できることにもなります。相談できる人間関係が作れることも自分の強みと思っています。

真庭市はどんな町ですか?

​緊急車両のサイレンを聞くことも少なく車もゆっくり走り、時間と心にゆとりのある町、平和な町という印象です。

金田病院はどんな病院ですか?

内科スタッフの先生は、専門をお持ちで専門分野のことはもちろん、専門外のことでもよくご存じです。困ったときには助けてくださり、どの先生も尋ねやすい雰囲気を作ってくださるので、すごくありがたいと思っています。また、時間外診療で来られる患者さんが「時間外ですみません」と担当医を気遣ってくださり、恐縮します。長年、金田病院を支えてこられた先生が、患者さんと良好な人間関係を作ってこられた結果だと思います。

次に続く後輩へのアドバイスをお願いします。

初期臨床研修中に「地域に行ったらこの処置は一人でする」、「主治医になるとこんな計画で患者さんの治療をしていく」ということを念頭に置いて治療に当たれば、自分のイメージと実際のずれをその場で修正でき、正確なことが習得できていたはずです。そのことをもっとやっておけばよかったと思っています。また、研修中は「ふんふん」と思っていたことが、いざやろうと思ったり考えたりしたときに、「あれ、どうだったかな」と思うことがあります。研修医の時に色々なところに顔を出して、(外科の救急やマイナー系の処置など)一回でも見ていたら対応が違っていたのだろうと思います。シビアに突き詰めておけばよかったと思います。初期臨床研修病院は大きな病院なので症例も多く、触れることが出来る症例には限りなく触れておくことが、地域で働くときには助けになります。

義務年限が終了した時の自分の姿はどんな姿ですか?

まったくわかりません。実際に地域で働いてみて楽しいと思います。いろいろなことができるようになるし、地域の方との人間関係も築いていけます。しかし、専門研修を修了した時、専門も楽しいと思うかもしれないし、専門医療と地域医療の両方を体験して、在宅に傾倒するかもしれません。ですから地域医療に戻りたいと思うか、専門的なところに進みたいと思うかは未定です。今は色々な夢が膨らんでいます。

​(金田病院のホームページへはこちらから

医療法人清梁会 高梁中央病院 岡山県高梁市南町53

木浦 賢彦 医師(2017年4月〜2019年3月 勤務) 

(訪問日: 2017年5月25日)

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今はどんな勤務形態ですか?

病棟業務(15人程度)を中心に、週2日の外来診療、週1回の内視鏡検査、週2回の超音波検査をしています。外来の患者数は1日に10人程度で初診患者を診ます。当直は週1回で、毎週曜日が決まっています。

地域勤務で戸惑ったことはありましたか?

しょっちゅう戸惑っています。地域枠だから特別困るということではなく、3年目として通常経験するだろう壁だと思っています。高梁中央病院には非常勤医師の専門外来があるので、対診で診察してもらえて助かります。それが無かったら、どのように患者さんを管理すれば良いかがわからなかったと思います。また、難しい症例は、上の先生にいつでも相談しています。医療的な事はもちろんですが、社会的にどのように説明したらいいか困る場合も聞いています。

メンタルヘルスに対する対策がありますか?

家に帰って奥さんに愚痴ることと、囲碁が打てるのでオンとオフが切り替えられることです。(木浦医師は、2014年アマチュア山陽本因坊戦三連覇の腕前です。)

高梁市はどんな町ですか?

雰囲気は前に住んでいた岡山赤十字病院の周りとあまり変わりません。大学が2つあるので、若い人も多いですが高齢者も多いです。

高梁中央病院はどんな病院ですか?

​研修は充実していて、内科はもちろん外科の研修をしたい人にもお勧めします。外科では、手術日が週2日あり、高梁市内の手術が充実するようにと頑張っていらっしゃいます。完全週休2日制で、日直と当直は日直医、当直医がすべて対応すると決まっているので、時間外に呼ばれることはありません。休みは確保されているのがありがたいです。

次に続く後輩へのアドバイスをお願いします。

地域に出ると今まで学んだことを実施するだけなので、初期臨床研修中に上の先生がすることや話されることはしっかり見て、聞いて学んでおくことです。

義務年限が終了した時の自分の姿はどんな姿ですか?

​地域でそのまま勤務するか、総合診療科のある病院に勤務するか、漠然と考えています。まずはきちんとした医者になるのが目標です。総合診療がすべてできればいいですが、すべてできない医師にならないように頑張ります。

高梁中央病院のホームページへはこちらから

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